行列についてあれこれメモ/行列は何の役に立つか

絹の道をつくりパレード

行列する毛虫たち

ファーブル昆虫記』に行列する毛虫の話が出てきます。毛虫パレードをするのは、マツカレハガという蛾の幼虫で、その名の通り松の枝を食べるので害虫です。さらに、毒性のある長い毛を持ち、人体に触れると皮膚炎や呼吸困難などを引き起こす恐れもあるのだとか。この毛虫、規則正しく一列になって移動するので「行列毛虫(procession caterpillars)とも呼ばれています。ちなみにprocessionとは、パレードと同じように行列とか行進の意味ですが、婚礼の行列や宗教的行列の意味も含みます。


 行列のスタイルは、先頭の毛虫のお尻に後ろの毛虫が顔をつけるようにしてつながり、上下に波を打つように動くので、ファーブルは長いミミズのようだと言ってますが、中には長さ12mにも及ぶ300匹の行列もあったとか(ファーブル談)。何だかヘビみたいで気持ち悪いですね。でもよく考えると、パレードしながら外敵から身を守るディプレイかもしれません。集団擬態とでもいいましょうか。

引用/Pine Processionary Caterpillar Thaumetopoea pityocampa
 しかし、あまりに規則正しく並んだパレードなので、「古代ギリシャのエレウシスというお祭りの行列も相当きちんと並んで行進したと言われるけれども、この毛虫ほどじゃない」とファーブルは言っています。あまり見るチャンスも少ないので、『ミクロコスモス1996(仏)』という映画(ナチュラル・フィクション)を見ると、その整然さに感心させられます。でも、毛虫嫌いの人にはオススメできませんね。


 この毛虫パレードの特徴は他にもあって、パレード後に絹の道ができるのだとか。先頭の毛虫が糸を吐くと、それに応じるように2番手の毛虫も糸を吐き、次々と絹糸を吐きながら行進することになるので、毛虫パレードの後に絹の道ができるのですが、道をつくることで毛虫達は巣に戻ることができるのはないかと考えられています。


 冬になるまで床下などの土の中に住んでいますが、冬になると松の木のてっぺんに巣を作り、夜になると松の木の上でも行列を組んで移動して好物の松の枝を食べ、再び絹の道を辿って巣へ帰って行くそうです。けれども、天気の良い昼間にも行列を組んで地面に降りて来て、行進しては巣に帰るという不思議な習性もあるそうです。ひなたぼっこのパレードでしょうか?目的不明です。


 AFPBB※(2007年6月2日)によると、ベルギー東部で毛虫が大量発生し、ブリュッセル(Brussels)に向かって大パレードをした事件があって、ベルギー軍が退治したそうです。この毛虫は、マツカレハガではなく、オークの木に住みついている毛虫らしく、行列毛虫は何種類かいるようです。カレハガやオビガの仲間、アメリカシロヒトリの幼虫も糸の道をつくるのだとか。日本にも行列毛虫の仲間が生息しているみたいなので、一度見てみたいものです。

【参考資料】
●「ファーブル昆虫記(3)行列をする毛虫たち」 アンリ・ファーブル 八杉貞雄訳/ポプラ社文庫1988
●写真/Pine Processionary Caterpillar Thaumetopoea pityocampa
http://facultyweb.cortland.edu/fitzgerald/PineProcessionary.html

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