行列についてあれこれメモ/行列は何の役に立つか

海底のパレード

行列するエビたち/アメリカイセエビ

 海底でもパレードが見られます。あまり知られていませんが、海老もパレードするらしいのです。パレード海老は、アメリカのロブスターで、この行列は「ロブスター・マーチ」と呼ばれています。
大西洋西部のフロリダ沖からカリブ海にかけての浅瀬に生息するアメリカイセエビや太平洋側のカリフォルニア沖に生息するカリフォルニアイセエビも行列を組んで移動するそうです。

「ロブスター」は、イセエビやアカザエビなども含めた大型の歩行型エビです。大きさは、体長30〜45cm程度。ちなみに、ザリガニの近縁で日本の伊勢海老とは多少異なるようなので、伊勢海老がパレードするかは不明です。

「動物大百科(14)」水生動物 A・キャンベル編より このエビパレードの目的は大移動、つまり引っ越しです。でも、なぜ引っ越しするのかは、まだ明らかになっていません。産卵説や冬眠説・嵐を避けるためなど諸説あります。ただし、アメリカイセエビの場合、南に向かってパレードする姿が毎年10月〜11月になると見られ、そのタイミングが冬を告げる最初の強いスコールだということは分かっていて、水温や日照変化などが関係していると見られています。一方、『ネイチャー(2003年1月号)』によると、アメリカイセエビは地球の磁気地図を感じとって移動している、という実験結果が紹介されました。要するに、地球の磁気を感じる磁気コンパスを使って、自分の位置を把握しているそうなのです。例えば、目と鼻をふさいいだ状態で12〜37kmの距離を移動させても、ちゃんと元のすみかに戻ってきたのだとか。渡り鳥みたいですね。


 移動総距離は約50kmとされ、水深10m〜30mを1日約15km位のペースで昼夜休むことなく歩き続けるそうなので、3〜4日の長いパレードとなります。パレード規模は、決まってないようですが、『動物大百科』(A・キャンベル編)では60匹ぐらいのロブスターマーチが紹介されています。基本的に一列で進みますが、パレード隊同士が合流して数千匹にもなり、2キロに及ぶ大編成のパレードが目撃されたこともあるとか。

 毛虫パレードで紹介したように、前のエビを確かめながら列は作られているようで、エビの場合、頼りは長〜い触覚ですが、アメリカイセエビの腹部背面に並ぶ白い紋もその役割を果たしているのではないかと考えられています。エビの目はそれほどよくないのですが、目も使っているというわけです。

 さて、エビの大移動がなぜパレード型なのか?エビじゃなければわかりませんが、まとまって移動することで外敵から身を守ると共に、水の抵抗を減らし体力の消耗を抑えているのではないかと考えられています。機能的なディスプレイってところでしょうか。ところで、先頭のエビは時々交代するのでしょうか?疲れますよね。

【参考資料】
●「動物大百科(14)」水生動物 A・キャンベル編 山田真弓監修/平凡社1994 3刷
●「ネイチャー(2003年1月号)」英語版 True navigation and magnetic maps in spiny lobsters Larry C. Boles & Kenneth J. Lohmann

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